ピーピースルーとは

ピーピースルーとは、排水管や排水口の頑固な汚れ・つまりを溶かして除去するための強力な洗浄剤です。
和協産業株式会社が製造・販売しており、プロも使用するほど高い洗浄力を持つ一方で、家庭でも使える製品として広く知られています。
その主成分は強アルカリ性の水酸化ナトリウム(苛性ソーダ)で、排水管にこびりついた油脂やタンパク質、髪の毛などの有機物を化学反応によって分解します。
このアルカリの作用で油汚れは鹸化(けんか)し※、固まった油やヘドロが石鹸のように溶けて流れやすい状態になるのです。
悪臭の原因となる汚れも同時に除去できるため、排水管の掃除やつまり予防に非常に効果的です。
ただしピーピースルーはあくまで油汚れや髪の毛など「有機物」のつまりに効果を発揮する薬剤です。
プラスチック片やゴム製品、金属片など有機物以外の異物によるつまりには効果がないので注意してください(おもちゃやスプーンなどが排水管に詰まった場合、ピーピースルーでは解消できません)。
ピーピースルーの種類:家庭用Fと業務用Kの違い
ピーピースルーには用途に応じていくつかの種類があり、代表的なのは以下の2種類です。
- ピーピースルーF
- ピーピースルーK
ピーピースルーFは家庭用、ピーピースルーKは業務用のもので、両者の大きな違いとして、有効成分の濃度が挙げられます。
家庭用のピーピースルーFは有効成分である水酸化ナトリウムの濃度が5%未満で、比較的マイルドな処方になっています。
一方、業務用のピーピースルーKは有効成分である水酸化カリウム濃度が95%となっており、使用時は4倍程度に希釈するため、約25%となっており、非常に強力です。
そのためピーピースルーKは「医薬用外劇物」に指定されており、誰でも簡単に購入できる製品ではありません。
通常の家庭内のつまりであれば、洗浄力が十分なピーピースルーFで対応可能です。一般の方であればなおさら、無理にピーピースルーKを購入する必要はありません。
ピーピースルーで配管が溶けるという噂は本当?
結論から言えば、ピーピースルーを正しく使用している限り配管が溶けることはありません。
ピーピースルーは強い薬剤ですが、その洗浄成分は塩化ビニールや金属といった配管素材に影響を与えないよう調整されています。
適量を守り、決められた時間だけ作用させてしっかり洗い流せば、配管そのものを溶かしてしまう心配はないのです。
では、なぜ「配管が溶ける」という噂が生まれたのでしょうか?
それは誤った使い方によって配管にダメージが生じてしまったケースがあるためです。
例えば、規定量以上の大量の薬剤を一度に投入したり、長時間にわたって薬剤を配管内に放置し過ぎたりすると、薬剤の強いアルカリ性によって配管表面にダメージを与える可能性があります。
特に古く劣化が進んだ配管の場合、もともと脆くなっていた箇所に薬剤が作用することでひび割れや漏水が発生し、「配管が溶けた」と感じられてしまうことがあるのです。
実際には溶けたのではなく、経年劣化した部分が洗浄によって崩れてしまったというのが真相の場合も多いです。
要は、ピーピースルーの効果が強力すぎるがゆえの誤解と言えるでしょう。
ピーピースルーの影響を受けやすい配管材質
ピーピースルーは基本的に家庭で使われる主な配管素材には問題なく使用できますが、一部の材質には注意が必要です。
- 塩ビ管
- 金属管
どちらもトイレの排水管に使われることのある材質ですので、詳しくご紹介します。
塩ビ管
家庭の排水管として広く使われている塩ビ管(塩化ビニル管)は、ピーピースルーによる洗浄に比較的耐性があります。
塩化ビニールやポリプロピレンといったプラスチック素材は強アルカリにも耐える性質があり、ピーピースルーを適切に使用すれば配管を傷める心配はほとんどありません。
実際、台所や洗面所などの排水管の多くは塩ビ製で、ピーピースルーのようなアルカリ性洗浄剤で定期的に掃除をしても劣化しにくいよう作られています。
しかし、だからといって絶対に安心というわけではありません。
塩ビ管は高温にはあまり強くないため、ピーピースルーの使用時に熱湯を注いでしまうと配管自体が変形するリスクがあります。
また、長時間薬剤を放置しすぎると塩ビ管表面が荒れる可能性もゼロではありません。
適切な温度の水で規定の時間内だけ作用させ、使用後は十分にすすぐという基本を守れば、塩ビ管が溶け出すようなことは起こらないので安心してください。
金属管
金属製の配管、例えばステンレス管や鉄管(鋳鉄管)なども、ピーピースルーを正しく使えば基本的に問題ありません。
これらの材質は比較的耐久性が高く、強アルカリ性の薬剤に対しても短時間であれば耐えられる素材です。
実際、ステンレス製のキッチンシンク配管や、古い住宅の鉄製排水管などでも、適切にピーピースルーを使ってつまりを除去することができます。
ただし例外となる金属もあります。
それがアルミニウムや亜鉛といった金属です。アルミ製の配管や部品にピーピースルーがかかると、化学反応を起こして激しく腐食してしまう恐れがあります。
アルミニウムは強いアルカリに弱く、短時間で表面が溶けてガス(水素)が発生するほど反応性が高い金属です。
亜鉛メッキ鋼管(いわゆるトタン管)なども同様にアルカリに弱い部分があるため注意が必要です。
また、金属管であっても老朽化が進んで錆びているものは、洗浄剤が錆をさらに進行させて穴が開くリスクがあります。
古い鉄管などでは、長年の汚れがかえって穴を塞いで水漏れを防いでいたケースもあり、洗浄によって汚れが取れた途端に漏水が発覚することもあります。
金属配管にピーピースルーを使う際は、材質がアルミではないことを確認し、配管の劣化具合にも注意を払いましょう。
ピーピースルーの正しい使い方
ピーピースルーは取り扱いを誤らなければ非常に有効な洗浄剤です。
ここでは初心者の方にもわかりやすいよう、ピーピースルーFを例に正しい使用手順を説明します(商品によって用法が若干異なる場合もあるので、必ず添付の説明書も確認してください)。
- 作業前の準備:使用する前に窓を開けて十分に換気し、ゴム手袋・保護メガネを着用しましょう。また、薬剤や反応液が飛び散る恐れがあるので、周囲にあるアルミ製の調理器具やアルミホイルなどは事前に別の場所へどけておきましょう。
- 薬剤を投入:排水口のゴミ受けやトラップ(封水カップ)を外し、詰まりの原因となっている水が溜まっている場合は可能な範囲で汲み出しておきましょう。その後、ピーピースルーの粉末を排水口の周りに直接まんべんなく振りかけましょう。量の目安は約150g(カップ一杯程度)です。
- ぬるま湯を注ぐ:粉末をまいた排水口に、静かにお湯を注いで薬剤を配管内に流し込みます。このときのお湯は約40~50℃が適切で、量は500ml(ペットボトル1本分程度)を目安にしましょう。水圧で薬剤が飛び散らないよう、ゆっくり注ぐのがコツです。
- 反応・浸透させる:薬剤が水に溶けると発熱し、泡(発泡ガス)が発生します。そのまま30分~1時間ほど放置して薬剤を行き渡らせます。頑固なつまりの場合は、一晩程度そのまま置くよう指示されていることもあります(説明書の指示に従ってください)。
- 薬剤を洗い流す:最後にバケツ1~2杯分(5~10リットル程度)の水を一気に流し込み、配管内の薬剤と溶けた汚れを洗い流します。このときも絶対に熱湯は使わず、水道水かぬるま湯を使いましょう。
以上が基本的な使用手順です。作業中は薬剤の飛沫や蒸気を吸い込まないよう十分注意し、作業後もしばらく換気を続けてください。
もし上記の手順を試してもつまりが解消しない場合は、無理に繰り返し薬剤を追加投入しないでください。
配管の状況によっては、市販の洗浄剤では対処できない深刻な詰まりもあります。
その際は無理をせず、水道修理の専門業者に相談することをおすすめします(業務用のさらに強力な薬剤もありますが、個人では入手や扱いが難しいためです)。
ピーピースルー使用時の注意点
ピーピースルーを安全に使うために、いくつか注意すべきポイントがあります。次の事項を守って正しく使用しましょう。
- 使用前に配管の材質を確認する
- 熱湯は使用しない
- 冷水は使用しない
- 十分に換気を行う
使用前に配管の材質を確認する
使用する前に、まずは配管の材質を確認しましょう。
前述の通り、アルミ製の配管や部品にはピーピースルーを使用できません。
キッチンのシンク下などにアルミ製の部品(アルマイト加工された部品等)が使われていないか注意してください。
素材がわからない場合や、配管が古く劣化している場合は、ピーピースルーの使用を避けるか専門業者に相談する方が安心です。
熱湯は使用しない
ピーピースルーを使用する際、熱湯を注がないようにしましょう。
薬剤が水に溶ける際に発熱する上に、熱湯を加えると想定以上の高温反応が起こり危険です。
最悪の場合、沸騰した泡が飛び散って火傷したり、配管やシンクを傷めたりする可能性もあります。
また、前述したように塩ビ管は高温で変形しやすいため、熱湯は厳禁です。
冷水は使用しない
熱湯だけではなく、冷たい水の使用も避けましょう。
水温が低すぎるとピーピースルーの粉末が溶け残って固まり、配管内に薬剤が滞留してしまう恐れがあります。
実際、ピーピースルー(温水用)に誤って水道水(冷水)を注いでしまうと、薬剤が十分に溶けきらずに排水管の中に残ってしまうケースがあります。
約40~50℃くらいの適切な温度のぬるま湯を使用し、粉末をしっかり溶かして流すことが大切です。
十分に換気を行う
強力な洗浄剤であるピーピースルーを使うときは、作業場所の換気をしっかり行ってください。
薬剤が反応する際に刺激臭のあるガス(蒸気)が発生することがあります。
狭い空間で換気を怠ると、そのガスを長時間吸い込んでしまい健康に悪影響を及ぼす危険性があります。
作業中は窓を開け、換気扇を回すなどして常に新鮮な空気を取り入れましょう。
可能であればマスクを着用し、目を保護するメガネも使うと安心です。
また、作業後も臭いが残っている間は換気を続けてください。
ピーピースルーの代替案
「強力な薬剤を使うのはちょっと心配…」という場合や、そもそも軽度のつまりでそこまで強力な洗浄剤が必要ない場合は、以下のような代替方法も検討してみましょう。
- ラバーカップ
- 重曹とクエン酸
ラバーカップ
ラバーカップ(いわゆるすっぽん)は、トイレや洗面所のつまり解消でおなじみの道具ですが、キッチンやお風呂の排水口のつまりにも有効です。
半球状のゴムカップを排水口に押し当て、真空状態を作ったり空気圧を送ったりすることで、詰まっている汚れを物理的に押し流します。
ラバーカップの利点は、薬品を使わないため配管や環境に優しいことです。
正しい使い方としては、排水口にしっかりカップを密着させ、水を適度に張った状態で何度か押し引きして圧力をかけます。
これによって詰まりの原因が押し出されたり吸い上げられたりし、流れが改善します。
特に髪の毛の塊など物理的な詰まりには効果的で、ピーピースルーを使う前に一度試してみる価値があります。
ラバーカップについてはこちらの記事でもご紹介していますのでぜひ参考にしてください。

重曹とクエン酸
重曹(炭酸水素ナトリウム)とクエン酸を使ったお掃除方法も、トイレの軽い詰まりや臭いに対する安全な対処法として人気です。
重曹とクエン酸はどちらも食用にもなる安全な物質で、混ぜて水を掛けると二酸化炭素が発生し、発泡します。
この化学反応による発泡は汚れを浮かせて落とす効果が期待できます。
やり方は簡単で、排水口に重曹をカップ半分ほどまんべんなく振りかけ、その上からクエン酸(またはお酢でも代用可)を溶かした40℃程度のお湯を流し入れます。
するとシュワシュワと泡が発生するので、そのまま5~10分程度放置しましょう。
※発泡してから時間を置くことで、汚れを浮き上がらせることができます。
最後に勢いよく大量の水(できればぬるま湯)を流し込んで、十分にすすげば完了です。この方法は即効性こそピーピースルーに劣りますが、配管を傷める心配がなく環境にも優しいメリットがあります。
臭い予防のために定期的に行う掃除法としてもおすすめです。
詳細はこちらの記事でもご紹介していますので参考にしてください。

まとめ
ピーピースルーは、正しく使えば排水管のしつこい汚れやつまりを強力に除去できる頼もしい洗浄剤です。
本記事では「ピーピースルーで配管が溶ける」という噂について検証しましたが、適切な使用であれば配管が溶けるような心配はほとんどないことが分かりました。
ただし、その強力さゆえに間違った使い方をすると配管にダメージを与えるリスクがあるのも事実です。
大切なのは、製品の使用説明書をよく読み、適量・適切な時間・適温の水で使用すること、そして使用後には十分なすすぎと換気を行うことです。
ピーピースルー以外にもラバーカップでの物理的な除去や、重曹とクエン酸による環境に優しい掃除法といった代替案もあります。
それらも活用しつつ、安全第一で水回りトラブルに対処しましょう。
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※本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。あらかじめご了承ください。
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